耐久性やデザイン性だけでなく、「タイルには数えきれないほどの意匠がありますが、その表情の違いは「乾式製法」と「湿式製法」という、2つの成形方法の違いに大きく起因しています。

「均一で洗練された表情に仕上げたい」「焼き物ならではの温かみや、素材の個性を活かしたい」—空間づくりで思い描くイメージによって、選ぶべきタイルの製法は変わってきます。

本記事では、乾式・湿式それぞれの製法の特徴と、施工事例を交えながら、デザイン意図に合ったタイル選びのポイントをご紹介します。

乾式タイルとは?高い寸法精度が生み出す、洗練された表情

乾式タイルは、水分をほとんど含まない乾いた粉末状の原料(坏土)を使用することから「乾式」と呼ばれ、主に金型に詰めて高圧でプレス成形されます。

湿式タイルが、焼成時の収縮や歪みによって焼き物ならではの個性を生み出すのに対し、乾式タイルは寸法のばらつきが少なく、均一で洗練された表情に仕上がります。

乾式タイルの製造工程(例:モノモザイク)

原料は、石を主に調合したパウダー状の坏土と呼ばれる粉

坏土を金型に充填し、高圧プレス機で押し固めて成形

釉薬(ゆうやく)をスプレー掛けする

施釉された素地をバキュームで吸い上げ、サヤ(耐火性の棚)に積む

トンネル窯で約30分~2時間ほど焼成する
※世界的にはセラミックローラーにより製品を搬送する連続式焼成炉(ローラーハースキルン)での焼成が一般的

焼き上がったモザイクタイルを、メーカーにて検品
弊社工房にて、貼り板にタイルを並べてシート状に仕上げる
※加工量に応じて、機械を使用して加工を行います

湿式タイルとは?焼き物ならではの、味わいと個性

湿式タイルは、水分を含んだ湿り気のある粘土(含水率20〜25%程度)を使用することから「湿式」と呼ばれ、主に押出成形機で成形されます。

乾式タイルが、乾いた粉末状の原料を型に詰めて高い寸法精度を追求するのに対し、湿式タイルは焼成時に収縮や歪みが生じやすく、その誤差こそが焼き物ならではの個性や質感—いわゆる「味」を生み出します。

湿式タイルの製造工程(例:太鼓)

原料を練り、含水率を20~25%に調整した土の塊(粘土)をつくる

真空押出成形機で押し出し、ピアノ線でタイルのサイズに切断する

釉薬(ゆうやく)をスプレー掛けする

施釉された素地を手作業でサヤ(耐火性の棚)に積む

トンネル状の窯の中で台車ごと移動させながら、20~40時間かけてゆっくりと焼成する

焼き上がったタイルを、メーカーにて検品

【施工事例】乾式タイル / 湿式タイルの空間演出

寸法精度に優れた乾式、焼き物ならではの個性を持つ湿式。この違いは、実際の空間でどのように表れるのでしょうか。

■  乾式タイルの施工事例:Field House / モノモザイク

  • モノモザイクを施工したバスルーム(写真:Tom Ross)

オーストラリアの森に佇む住宅「Field House」では、バスルーム一面にモノモザイクを採用しています。
細やかな目地が織りなす整然としたグリッドが、空間全体に凛とした上品さを添える。一枚一枚の高い寸法精度があるからこそ生まれる、乱れのない整列感です。

■  湿式タイルの施工事例:宿一景 / 太鼓

ゲストハウス「宿一景」では、太鼓を壁面一面に使用しています。
一枚一枚の質感や色合いにわずかな個体差があるからこそ生まれる、柔らかな陰影のリズム。光の角度によって表情を変えるその壁は、くつろぎの時間にゆったりとした余白を添えています。

目地の通った整列感が生む上品さと、焼き物ならではの個体差が生む陰影の揺らぎ。一口にタイルと言っても、使用する原料・製法によって異なる空間の表情が生まれます。

まとめ

今回は、乾式・湿式それぞれの製法が生み出す、寸法精度による上品さや、焼き物ならではの陰影について紹介してきました。とはいえ、こうした質感や色味の違いは、写真だけでは伝えきれない部分も多くあります。

エクシィズでは、空間のイメージや用途に合わせたタイルのご提案はもちろん、サンプルによる色味・質感のご確認も承っております。タイル選定でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

なお、その他のご相談はお問い合わせページからも承っております。