現代の建築やインテリアデザインにおいて、空間に深い表情をもたらす「豊かなテクスチャ(素材感)」や、五感に響く「温かみ」が改めて重視されています。
イタリアで開催される「Cersaie(チェルサイエ)」をはじめとした海外の展示会において、最新技術によるタイルが並ぶ一方で、あえて伝統的製法による職人の手仕事を感じる「湿式タイル」が高い評価を得ています。
今回は、湿式タイルの製法の特徴とともに、弊社おすすめの湿式タイルをご紹介します。
湿式タイルの製造プロセス
大量生産に向いている「乾式成形」は、に対して、「湿式成形」は、対照的なアプローチをとります。土という天然素材が持つ本来の柔らかさや粘り気を活かし、焼き物ならではの豊かな表情や個性を引き出すための製法です。
そこから生まれる絶妙な色ムラや質感の「ゆらぎ」は、国産タイルならではの大きな魅力でもあります。今回は、弊社の湿式タイル「太鼓」の製造現場を例に、タイルが完成するまでの流れをご紹介します。
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① 成形 ― “ところてん”のように押し出す立体感
水分を多く含んだ柔らかい粘土を、「押出成形機」の口金からニュッと押し出します。プレス成形では難しい、複雑な凹凸、丸みを持った形状などの「立体感」を創り出すことが可能です。
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② 乾燥 ― “ゆらぎ”の土台をつくる
成形工程を終えたタイルを、じっくりと乾燥させます。この粘土から水分が抜ける際、タイルにわずかな収縮が起こります。これが、湿式タイル特有の自然な反りなどの「国産タイル」らしい雰囲気の土台となります。
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③ 施釉 ― 立体だからこそ生まれる釉薬の濃淡
乾燥させた素地に釉薬をかけます。とくに立体的なタイルの場合、釉薬が自然な厚みを持って溜まります。この“溜まり”が、焼成後に美しい色の濃淡や奥行きを生み出します。
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④ 焼成 ― 炎の力で個性を固定する
窯の炎で焼き上げます。熱による収縮と、炎と釉薬の化学反応によって、1枚ごとに異なる「色ムラ」が生まれ、国産タイルらしいテクスチャが完成します。
唯一無二の空間演出を|エクシィズの「湿式タイル」
湿式成形のプロセスを経て生まれる、エクシィズおすすめの湿式タイル製品4つご紹介いたします。それぞれの製造プロセスの強みが、どのように「意匠」へと昇華されているのか、おすすめの利用シーンとともにご紹介します。
太鼓 ― 凸面・平面による豊かなコントラスト
独自の口金から押し出される、凸面のふくよかなボリューム感が魅力です。プレス成形では不可能な、湿式ならではの肉厚で丸みのある立体形状が、平面のタイルのみでは決して出せない温かみのある佇まいを創り出します。
太鼓には「凸面」だけでなく、すっきりとした「平面」もラインナップしております。この2つを組み合わせて壁面を構成することで、光を受けた凸面の膨らみが平面に美しい影を落とし、コントラストの効いたドラマチックな陰影を生み出します。
ホテルのロビーや和モダン店舗のアクセント、住宅の玄関・リビングなど、上質な空間の魅力を引き立てる建材として、現代的なインテリアにも美しく映える一品です。
陶波(とうは) ― 水面のようにゆらめく、有機的なレリーフ
陶器が織りなす「波」のような、美しい連続性のある曲線レリーフを持つ「陶波」。口金から緻密な計算のもと押し出された波状のレリーフは、途切れることなく滑らかに連続する有機的な曲線を描き出し、壁面に流れるような躍動感を与えます。
「波のうねり」のようなテクスチャから生まれる高低差は、施釉の工程で釉薬の絶妙な「溜まり」と「流れ」を生み、焼き物特有の深みのあるグラデーションを表現します。
表面には焼き物ならではの豊かな「貫入(ひび模様)」が美しく刻まれており、間接照明などの光源の角度によって、水面のような奥深いゆらぎを壁面全体に広げます。
アニヴェン ― 不規則なウェーブが生む、ランダムな陰影
「不均一な」「凹凸のある」という意味を持つアニヴェン。その名の通り、表面に施された不規則なウェーブ形状による立体感と、窯変結晶釉による質感豊かな色彩表現
工業製品的な均一さからは排除されてしまう、湿式特有の自然な反りや個体差、そして窯の中で生まれる深い結晶の表情を、計算されたデザインの武器(意匠)に昇華させています。
特徴的な形状から、先鋭的なデザインにも適していますが、深みのある施釉面が重厚感や、格式高さを感じさせます。ホテルや店舗、レストランなどに、個性的な意匠をお求めのプロジェクトに、ぜひご検討いただきたい一品です。
ブリエ ― 釉薬と立体感形状による、光のプリズム
フランス語で「輝く」を意味する通り、シャープでエッジの効いた立体形状に、美しいブライト釉が乗ることで光を反射・拡散させる華やかなタイルです。
施釉工程で、釉薬が自然な厚みを持って溜まることで、焼成後に美しい色の濃淡と深い奥行きが生まれます。
立体的な形状により、光をさまざまな方向へ反射させ、気品ある輝きを放ちます。商業施設のパウダールームや什器、ホテルの客室などにもおすすめです。
ひと口に「湿式タイル」と言っても、成形の口金設計や職人による釉薬の掛け算によって、その表情は驚くほど多面的に変化します。共通しているのは、どれも大量生産の均一な建材では再現が難しい、空間の格を静かに引き上げる「存在感」を持っているということです。
まとめ
唯一無二の魅力を持つジャパニーズタイルタイル。日本の職人による温度・原料管理、手作業、そして窯の中での炎と釉薬の化学反応が絶妙なゆらぎを与え、他にはない存在感を放ちます。
天候によって変化する太陽の光や、夜の照明。それらを受けることで完成するタイルによる壁面・床面は、その空間にしかない唯一無二の気品と、流行に左右されない普遍の美しさをもたらします。
エクシィズでは、独特の凹凸が生み出す陰影や、こだわりの色合いを実際にお手元でお確かめいただけるよう、実物サンプル提供を行っております。どうぞお気軽にコンタクトフォームよりお問い合わせください。※一部製品は有償にて承ります