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2020.08.18

「目地」の役割とは?|知っておきたい機能性とデザイン

タイルの豆知識 副資材 目地
「目地」の役割とは?|知っておきたい機能性とデザイン

タイルや石材による空間を仕立てるうえで、重要な役割を持つ「目地」。主役である建材の魅力を引き立てながら、その美しさと安全性を支える、空間の要となる要素です。

今回は、目地が果たす機能性と、空間における意匠的役割について紐解きます。

建物における目地の役割

建物は、湿気や温度などの気候変化によって下地が伸縮します。タイル自体も温度変化などによってわずかに膨張・収縮を起こします。

もし目地を設けず、タイルを隙間なく突き付けて施工(ネムリ目地)すると、この伸縮を吸収しきれず、タイルの欠け、ヒビ割れ、最悪の場合は剥がれ落ちる原因となります。

目地は、建物の動きに追従する「クッション」の役割を果たしているのです。エクシィズでは、安全で美しい仕上がりのために、目地本来の機能を活かした施工をおすすめしております。

タイルの表情を左右する2つの工法

目地込みの方法には、主に「塗り目地」と「一本目地」があり、タイルや石材などの表面状態や材質などによって使い分けます。

  • 塗り目地仕上げ

    ゴムゴテなどで目地材をタイル全面に塗り込み、目地ゴテで目地押しした後、タイル表面に付着した余分な目地材を水に濡らしたスポンジで拭き取り、仕上げる方法です。

  • 一本目地仕上げ

    無釉や粗面のレンガなどの表面の凹凸に目地材が入り込む事を避けるため工法です。

    目地パックを使用して目地材を注入した後、金属製の目地ゴテで押し込んで詰めていく方法です。

目地の入れ方(工法)によってタイルの引き立ち方が変わるように、使用する目地材の種類や色によっても空間の印象は大きく異なります

目指すデザインを実現するためには、適切な施工方法の選定に加え、目地材そのもののマテリアル選びも重要な鍵となります

西洋文化と日本の美意識が融合した「覆輪(ふくりん)目地」

現代の建築において目にする機会が極めて稀となった、断面が半円形に盛り上がる伝統技法「覆輪(ふくりん)目地」。

そのルーツは約100年前、日本に西洋風のレンガ造り建築が導入された時代に遡ります。目地のラインを強調し、レンガ本来の美しさを最大限に引き立てるために考案された、日本独自の美学の結晶です。

この貴重な意匠を今なお体感できる遺構が、保存・復原工事を終えた「東京駅丸の内駅舎」です。工事に携わった技術者たちの多大なる努力により、創建時の精緻な質感が現代に見事に再現されました。

西洋の建築文化と、日本人が培ってきた美への探求心の融合。その息吹を、東京駅のディテールは静かに宿しています。

機能と意匠を拡張する目地材のバリエーション

セメント系目地材(ベーシック)

建築において最も採用されている、セメントを主成分としたスタンダードな目地材です。優れた強度と耐候性を誇り、内外装、床・壁面を問わずマルチに対応する高い汎用性を備えています。

ブリック目地材

レンガやブリックタイルをはじめ、広幅目地(10mm以上)の施工を想定して設計された目地材です。あえて粗い骨材を配合することで、特有のざっくりとした素材感や力強いクラフト感を表現し、外装や陰影の深い空間に豊かな風合いをもたらします。

カラー目地材(デザイン性重視)

白やグレーだけでなく、豊富なカラーバリエーションを持つ目地材です。ガラスモザイクやカラフルなタイルと組み合わせることで、空間に付加価値を生み出します

あえてタイルと反対色の目地を選び、タイルの輪郭を強調するデザインテクニックも人気です。

弾性目地材(伸縮・振動対策)

適度な柔軟性(しなり)を持ち、建物の振動や下地の動きに追従します。「目地割れ」や「目地とび」を防ぐため、伸縮が起きやすい下地や、動きのある場所への施工に最適です。

「目地パターン」による意匠

同じ形状、同じ色彩のタイルであっても、目地の通し方ひとつで、空間の視覚的効果や奥行きは劇的に変化します。

モダン、カジュアル、あるいはトラディショナルなど、目地パターンは目指す空間のコンセプトを具現化するための極めて論理的な意匠アプローチと言えます。

ここでは、空間に多様なリズムや陰影を生み出す、代表的な12の目地パターンをご紹介します。

  • 通し目地(いも目地)

  • 馬踏み目地(破れ目地)

  • 四半目地

  • やはず目地(ヘリンボーン)

  • イギリス張り

  • フランス張り

  • アメリカ張り(フランス型)

  • ガーデン網代

  • フランス網代

  • バスケット

  • カゴ張り(三つ目市松)

  • 重ね網代

選択する目地パターンによって、空間のスケール感や壁面が放つキャラクターは大きく変化します。 同じ形状のタイルであっても、貼り方ひとつで全く異なる陰影やリズムを生み出せるのが、目地デザインの大きな魅力です。

目地幅を均一に保つ秘密:「貼り板」とシート加工

同じパターンで、沢山のモザイクタイルや石材を施工する場合は「タイルシート」を使用します。タイルシートは、パターンに並べられたタイルを、紙やネットで固定したものです。

シートを使えば、細かいモザイクタイルでも、効率良く施工することができます。このタイルシートを加工・製造する際に使われるのが「貼り板(張り板・はりばん)」と呼ばれる専用の板です。

  • 近年、木製貼り板を作る職人が激減し、樹脂製の貼り板が多く使用されています。

  • モザイクタイル用の木製貼り板。細かいモザイクタイルのほとんどが、貼り板を使ってシート加工されます。

モザイクタイルを決められた枠の中にセットし、紙やネットを糊付けして、シートが完成です。材料のサイズや形状により、それぞれ専用の「貼り板」を使用してシートの加工をします。オートメーション化が進んだ工場では「自動貼機」を使用して、大量にシート貼り加工が行われています。

  • 工場ラインでは、大量生産用の金型を作り、自動貼機で加工作業が行われます。

  • 貼り板で並べたタイルの裏面をネットで糊付けして乾燥させればシートの完成。

弊社で行うモザイクタイルアートのうち、とくに「ドットアート」の制作においても、この「貼り板」が極めて重要な役割を担っています

ドットアートは、一粒一粒のタイルを「画素(ピクセル)」に見立て、写真やイラストを精緻に再現する技法です。配置図に合わせ、数千、数万というタイルを正確な位置に並べるためには、貼り板が欠かせません。

これによって、グラデーションや繊細な絵柄を、一つの「作品」としてカタチにすることが可能になります。

まとめ

タイルの目地は、単に隙間を埋めるためのものではなく、剥離やひび割れを防ぐ「安全性」と、空間の印象を左右する「デザイン性」の両面を支える極めて重要な要素です。

タイルや石材、そして下地の特性に合わせた最適な目地材(エポキシ・弾性・カラーなど)と工法を選択することが、建物の美しさを長く保つための鍵となります。

「このタイルに最適な目地材はどれか?」「特殊なパターンでのシート加工は可能か?」など、目地や副資材に関するお悩みはございませんか?

エクシィズでは、タイル・石材のプロフェッショナルとして、製品の選定からシート加工のカスタマイズまで、幅広くサポートしております。お客様のプロジェクトを成功に導くご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。